ボトルネック 米澤穂信
いわゆるジャケ買いです。
なんの予備知識もなく文庫カバーとタイトルにひかれて手に取ったら
「このミステリーがすごい!2010年度第1位!!」のオビ。
買わないわけにはいかんと思うたわけです。
で、裏切られました。
すこーんとね。
ボトルネックというタイトルに象徴される重そうなテーマがあるわけですが、
これがおじさんには、あの年代特有の甘〜い自己否定感に満ちた感傷に過ぎないとしか感じられないわけです。
まあ青春小説だからそれが悪いというわけではありません。
ただ、あまり説得力もなく、じわじわと不快感を催してしまったところに
ちょっと難ありと。
パラレルワールドの設定も、ストーリーも、なーんか古いぞと。
ただ、パラレルな二つの世界のディテールの関連性や対比表現なんかはうまいと思います。
あまりに理路整然と整いすぎていて、リアリティや混濁感のないのが、残念。
まあ、この世界に感情移入できなかったわけですね。
お手柄はサキ。
彼女のキャラクターはとても魅力的で、生きています。
対比的に描かれる主人公が、ひときわくっきりと照らし出されるのはうまいところでしょう。
この小説、いろんな年齢層の人に感想を聞いてみたいです。
おじさんの違和感をすとんと腑に落としてほしいのです。
by shu
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